【銘柄分析】$S センチネルワン(SentinelOne)”Form S-1”を読み解く

決算まとめ

センチネルワン(SentinelOne)とは?

 サイバーセキュリティ企業のセンチネルワン(SentinelOne)が新規上場する際に必要な「Form S-1」を提出しました。「Form S-1」は日本でいうところの目論見書に当たる書類となっており、この書類を読むことで企業の投資判断材料を得ることができます。

 この記事では「Form S-1」についてまとめるのに加え、競合であるクラウドストライク(CrowdStrike)との業績を比較し、投資対象としてどうなのかについても言及していきます。

 クラウドストライク(CrowdStrike)の決算については以下の記事でまとめているのでご覧ください。

ティッカーシンボル

 $Sでニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場を申請。

企業概要

 センチネルワンは2013年1月に設立されたセキュリティ企業で、2015年2月に最初のセキュリティソリューションをリリースました。センチネルワン(SentinelOne)はサイバー攻撃(データ公開、改ざん、抜き取りなどの不正行為)に対し、AI(人口知能)を活用し防止・検出・対応を行います。

 コロナウイルスによりデジタルトランスフォーメーションが加速した中で、サーバー攻撃は日に日に多くなっています。医療や商業、インフラ、政府機関などデータが存在する全ての場所でテクノロジーへの依存が高まっている今、センチネルワンの様な企業が提供するサイバーセキュリティはデジタルライフサイクルを維持するために必要不可欠となっています。

 これまでのセキュリティ技術では対応が遅く現在のサイバー攻撃に対して適していないのに対し、センチネルワンではAIを活用することで現在のサイバー攻撃に対して有効な対処を行うことができるとのことです。(技術的な部分については素人なので割愛します)

事業環境

・世界のクラウドサービスへの支出は2020年から2024年にかかて年率15.7%増加し1兆$を超える(IDC予想)

・2025年には414憶のIoTデバイスがオンラインになり、その多くはセキュリティ機能が組み込まれていない

・リモートワークの定着

 (CEOの82%がこれからも一部在宅勤務を許可し、47%が常時在宅勤務を許可する予定)

・サイバー攻撃が高度化しており従来のセキュリティでは防衛不可能

・サイバーセキュリティの人材が不足しておりテクノロジーを駆使したアプローチが必要とされている

  多少盛ってる(怪しい)部分はあるかもしれませんがDXが加速する中、セキュリティ需要が高まってくることは間違いないと思います。

市場規模

センチネルワン(SentinelOne)が対応している市場の規模は2024年に402億$に達し年平均成長率11.9%で成長すると予想されています

・エンドポイントセキュリティ

 2021年には97億$、2024年には120億$に成長

セキュリティ分析、応答、統合

 2021年には131億$、2024年には171億$に成長

IT運用管理

 2021年には59億$、2024年には111億$に成長

 市場規模として約12%成長していくため、このままのシェアを維持するだけで12%の成長が見込まれます。ですので、売上高がプラスで成長していくのはある意味当然のことです。そのため、企業売上高の成長率がこれを下回っていないか、どれだけ上回れるかが重要になってきます。

競合

クラウドストライク(CRWD)やVMware(VMW)などのエンドポイントセキュリティプロバイダー

・McAfee、Symantec(ブロードコムの子会社)、マイクロソフトなどのアンチウイルスプロバイダー

・Palo Alto Networksなどの一般的なネットワークセキュリティ製品・サービスのプロバイダー

 上記の企業が主な競合となりますが、特にクラウドストライク(CrowdStrike)がド競合となっておりライバル視しています。センチネルワン(SentinelOne)のHPで如何にセンチネルワンがクラウドストライクより優れているかの比較を載せています(笑)

 ↓センチネルワンのHPにある比較ページです

SentinelOne vs. CrowdStrike | Cybersecurity Comparisons
It’s as simple as 1-2-3: Discover why customers choose SentinelOne over CrowdStrike for endpoint & cloud protection, detection, and response.

業績

 業績についてはクラウドストライク(CrowdStrike)と比較しながら見ていきます。

顧客数と構成

〇センチネルワン(SentinelOne)

・顧客数  4700社以上

・Fotune10  3/10社

・Fotune500 37/500社

・ARR(年間経常収益)の3%以上を占める企業なし

 →売上が偏っておらず一部企業の解約による急激な売上減少リスクなし

・ARRが10万$以上の企業 277社

〇クラウドストライク(CrowdStrike)

・顧客数  11420社

・Fotune100  61/100社

・Fotune500 214/500社

・銀行最大手   13/20社

 センチネルワンはARRの3%を占める企業がないことから採用されている個別企業による売上高の大きな変動リスクは少ないと考えられる。また、センチネルワン($S)とクラウドストライク($CRWD)を比較すると、$SのARRは$CRWDのARRの1/7なのに対し顧客数は1/3である点(売上高に対して$Sの顧客数が多い点)や$Sの顧客数に対するFotune500採用企業の割合が$CRWDより低い点が挙げられます。これは$Sの方が顧客単価が低く、比較的規模の小さい企業に採用されている傾向があることが分かります。

売上高

売上高 千$               

 上のグラフは売上高と売上高成長率(前期比,QtoQ)の推移になります。

 $Sの売上高の規模は$CRWDの1/8程度になります(CRWDの2018年頃の水準)。売上高成長率は$S、$CRWD共に20%前後となっています。$Sは成長率が加速しており、今後もこれが続くのかに注目です。

粗利率

 粗利率を見ると、$CRWDは少しずつ改善しており、現在は70%中盤を推移しています。それに対し、$Sは少しずつ粗利率が低下しています。これは新しいパッケージの導入などによりコストがかさんだり、まだ利益が小さかったりする影響だと考えられます。また、$CRWDに比べ客単価が低いことも原因としてあるかもしれません。おそらく売上高の成長と共に粗利率も改善していくと思われますが、いつ下げ止まって上昇に転じるかは分かりません。

営業費用

 S&M(セールス&マーケティング費用)を見ると$CRWDは緩やかに減少し40%近くになっています。企業の規模が大きくなり、売上高の増加よりS&Mの費用の増加が少なくなったため減少に転じています。それに対し$Sはまだ規模も小さいため、S&Mにガンガン費用を回して規模を拡大させていっています。おそらく1,2年後から減少に転じ始めると予測されます。

 R&D(研究開発費)もS&Mと同様の傾向が見られます。G&Aに関しては一般管理費のためあまり特筆することはありません。

 全体を見ても$Sはどんどん金を使って市場と顧客を伸ばしているフェーズであることが分かります。$CRWDはそのフェーズから脱却し、利益を上げ始めるかどうかの段階に来ています。

営業損失

 先ほどの粗利率、営業費用のグラフからも分かるように、$CRWDは利益が出るフェーズに少しずつ近づいていることが分かります。一方で$Sはドンドン金を使って規模を大きくしようとしているフェーズであることが見て分かります。

ARR(年間経常収益)

ARR 千$               

 $SのARRの規模は$CRWDの1/7程度になります(CRWDの2019年頃の水準)。成長率は$Sが直近2期で上昇しているものの両銘柄とも大体20%程度で推移しています。

売上継続率(NRR)

 売上継続率を見ることで既存顧客がグレードを上げて客単価が上がったのかが分かります。

 $CRWDの売上継続率は120%以上を目標としており、2019年以降上回り続けています。このことは前述した$CRWDの客単価が高いことの裏付けになります。

 一方$Sは120%前後と高水準ではあるものの、$CRWDと比べると見劣りしてしまいます。このことから、$Sはアップグレードによる売り上げ増加が$CRWDと比較して少ないと考えられます。

まとめ

・成長性〇 (現在の水準を維持できる前提)

・売上に対する顧客数 $CRWD < $S

・顧客単価 $CRWD > $S

・売上継続率  $CRWD > $S

 個人的には客単価、売上継続率の低さ、今後 現在の成長性を維持できるかの疑問が残ります。

結論

ぶっちゃけセンチネルワン(SentinelOne)に投資するならクラウドストライク(CrowdStrike)でよくね?

※個人の見解です

 バリュエーションが低ければ購入を検討してもいいかも?って感じの感想です。

コメント

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