【決算発表】ロク(Roku)2021年第2Q [ROKU]

決算まとめ

事業内容

 ロク(ROKU)はアメリカでNo.1のTVストリーミングプラットフォームを運営している企業です。社名の由来は創業者のアンソニー氏の6つ目に起業した会社ということで、日本語の「六(ろく)」から取って’’Roku’’と名付けられました。「全てのTVコンテンツをストリーミングにより視聴可能にする」というビジョンを掲げ、事業を展開しています。 ユーザーはRoku Streaming Playerを購入することでRokuのTVストリーミングプラットフォームを利用することで、ユーザーの好きなストリーミングコンテンツに接続することができます。Rokuのプラットフォームが各ストリーミングのハブの役割を担っているため、AmazonのFire TV、GoogleのChromecastなどを抑えアメリカで首位を抑えています。

 RokuはAmazonやNetflix、Disneyなどの独自コンテンツが強い企業と比べ中立的な立場を取ることができ、様々なコンテンツと関係を持つことが出来るため、ユーザーはRoku Streaming Playerを導入するだけで良いといったメリットがあります。下の写真はRokuで視聴することが出来るコンテンツのごく一部です。

 日本ではテレビ放送を見るためにはTVを買ってきて線を繋ぐだけで視聴することができますが、アメリカではテレビ放送を見るために有料のケーブルテレビを契約するのが一般的です。しかし、ケーブルテレビの契約料は高く料金設定が不明確なため、近年ではケーブルテレビ契約を解約してNetflix、Amazon Primeなどのストリーミング配信サービスに移行する’’コードカッティング’’が進んでいます。このような背景に加え、コロナウイルスによる巣ごもり需要によりRokuは大きく成長し続けています。コードカッティングによるTVストリーミング市場の拡大はRokuにとって追い風ですが、競合であり協力関係でもあるAmazon、Netflix、Disneyなどの企業の動向にも注目していかなければなりません。Netflix、Amazonの直近の決算については以下の記事にまとめているのでご覧ください。

決算まとめ

 それでは今回の決算を見ていきましょう。

●2021年第Q2

 売上高 $645.1M(予想$618.5M)

  前年同期比 +81%

 EPS 0.52$(予想0.12$)

× アクティブアカウント 5510万人(+150万人)

× ストリーミング時間 174億時間(前期比-9億時間)

 ARPU(収入/人) 36.46$(前年同期比+46%)

●2021年Q3ガイダンス

 売上高 $675~685M(予想$645M)

・ 粗利益  $315~325M(粗利率  47%前後)

 純利益  $-3~7M (EPS予想-0.21$)

 売上高は予想$618.5Mに対し$645.1M(前年同期比+81%)、EPSは予想0.12$に対し0.52$とコンセンサス予想を大きく上回りました。しかし、アクティブアカウント数は前期から150万人増の5510万人、総ストリーミング時間は174億時間と前期(2020年Q4)から7億時間減少し、期待を大きく下回る結果となりました。これは、消費者が屋外での娯楽を求めて外出したため、TV視聴時間が減少しました。しかし、前年比で米国のTV視聴時間が19%近く減少し、TVストリーミング視聴の時間が2%減少したにもかかわらず、ロク(Roku)は全世界合わせて19%増加するなど業界水準を大きく上回っています。また、ARPU(一人当たりの売上高)は前年同期比+46%の36.46$と大きく上昇し、収益性が改善されていることが分かります。SNS系の企業同様、広告事業が好調によりARPUが大きく増加しています。

 2021年Q3ガイダンスは売上高予想$645Mに対し$675~685M 、粗利益は$315~325M(粗利率 47%前後)と予想を大きく超えました。また、純利益は $-3~7M となっており、EPS予想-0.21$から考えるとポジティブなガイダンスとなりました。 おそらくコンテンツに先行投資をし続ける必要があるためコストが増加し来期は殆ど利益が出ない(利益を出さない)状態になるのだと思います。

 この結果を受け、株価は決算発表後のアフターマーケットで8%近く下落しています。

業績

 それでは業績について詳しく見ていきましょう。

売上高

売上高 M$(右軸は営業利益率)

 上のグラフは「売上高、営業利益率の推移」になります。

 2021年Q2の売上高は $645.1M(前年同期比+81%) 、営業利益率10.7%と堅調に成長しています。売上高の内訳はプラットフォーム事業が $532.3M(前年同期比+117%)、プレイヤー事業が$112.8M(前年同期比+1%)となっています。それぞれの事業の粗利益率は65%と‐6%となっています。

 プラットフォーム事業は広告が好調な面もあり、大きく増収しています(ARPUなどについては後述します)。一方でハードを販売するプレイヤー事業は前年から売上高が伸びておらず、利益率はマイナスになっています。これはハードの構成部品の供給ひっ迫とコストインフレによるものです。おそらく半導体か樹脂製品の需要過多により必要な量が供給されず、コスト上げられて上昇したと考えられます。ロク(Roku)はこの影響によるコスト増を製品価格に転嫁しなかったため、プレイヤー事業では粗利益がマイナスとなっています。

粗利益率、営業コスト

 上のグラフは 「粗利益率、営業コストの推移」 になります。

 プラットフォーム事業事業の粗利益率は60~70%、プレイヤー事業は25%以下、営業コスト率は50%前後を推移しています。

 プラットフォーム事業の粗利益率は2020年に落ち込んだものの、現在持ち直しつつあります。プレイヤー事業の粗利益率はハードで儲けることを目的としていないため低い水準を推移しています。先述した通り供給ひっ迫とコストインフレにより今期はマイナスになっています。

KPI(重要指標)

 上のグラフはロク(Roku)のKPI(重要指標)である「会員数、ストリーミング時間、(一人当たりのストリーミング時間)の推移」になります。

 アクティブアカウント数は前期から150万人増加し、5510万人となりました。Q2は過去のデータから増加しづらい傾向があり、2018年Q2は120万人増、2019年Q2は140万人増、2020年Q2は320万人増(コロナ特需)となっています。そのため、今期の150万人増は少し物足りないものの2019年以前の純増数よりも多いことが分かります。ネットフリックスの2021年Q2の会員増加数は155万人となっており、複数プラットフォームにアクセスできるロク(Roku)の増加数は物足りない数字には見えます。

 総ストリーミング時間は会員数が増加したものの、前期比で-9億時間の174億時間となりました。これは消費者が屋外での娯楽を求めて外出したためであり、ごく自然な流れだと思います。一人当たりのストリーミング時間を見ると、前期の341時間から316時間へ大きく減少しています。しかし全体での推移を見ると、2019年の水準とほぼ同じレベルになっていることが分かります。そのため、今回の減少は経済の正常化による影響でごく自然なものであり、コンテンツ不足やエンゲージメントの減少によるものではないと考えられます。もしも今後大きく下がる場合には気を付ける必要があります。

ARPU(一人当たりの収益)

 上のグラフは「ARPU(一人当たりの収益)の推移」になります。 年々順調に上昇しており、2020年Q4から加速度的に増加していることが分かります。これは事業が順調であることに加え、広告事業が好調であることも一つの要因であると考えられます。 おそらく増加額は今後減少していくとは思いますが、増加をキープできるかが鍵となります。

株価

●2021/8/5現在 

 ・株価    420.32$(プレマーケットで8%下落中)

 ・時価総額 $55.65B

 ・PSR   24倍 (直近12か月の売上高で計算)

  ※プレマーケットの下落を加味するとPSR 22倍

 Rokuの株価はコロナ前から大きく上昇し約2倍になっています。グロース株全体の下落に見舞われ2021年2月中旬につけた最高値から-30%強と大きく下落しましたが、現在は大きく戻しています。PSRは決算後のプレマーケットで大きく下落した場合でも22倍となっており、前回決算時の18倍から上昇しています。ネットフリックスのPSRが高い時期(2019年)でも14倍だったことを考えると割高と見ることもできるかもしれません。個人的にはあまり買いたい!!とそそられる感じではないかぁという感じです。

まとめ

・2021年Q2の決算は売上高,EPS○、会員数,ストリーミング時間×

・会員増加鈍化、ストリーミング時間が減少したもののARPUは増加

・株価は依然高水準(割高)

参考文献

https://image.roku.com/c3VwcG9ydC1B/2Q21-Roku-Shareholder-Letter-Final-Version.pdf

コメント

  1. […] […]

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