【決算発表】プロジニー(Progyny)2021年第2Q [PGNY]

決算まとめ

事業内容

 プロジニー(Progyny)はアメリカのニューヨーク州に本社を構える不妊治療専門の福利厚生ソリューション企業です。事業のメインとなる不妊治療ソリューションでは、スマートサイクルと呼ばれる効果的かつ費用対効果の高い不妊治療の利用とその他関連サービスを提供しています。スマートサイクルとは、プロジニーのネットワークを介して会員に提供される特定の医療サービスを含む独自の医療方法のことです。これらに加え、ケアマネジメントサービスと呼ばれる包括的なサービスも受けることができます。

 また、2018年から薬剤ソリューション「Progyny RX」を開始し、不妊治療の福利厚生ソリューションを強化しました。処方箋の履行支援や専門薬局ネットワークによるタイムリーな配送、服薬管理トレーニングなどを提供しています。このソリューションは不妊治療ソリューションの追加サービスとしてのみ提供されています。

競合優位性

・高い妊娠率と出産率、流産と多胎児の減少率

・17種類という豊富な不妊治療サービスを提供

・出産までの手厚いサービス

・高い出産率による企業の保険費用抑制

市場規模

ターゲットは従業員数1000人以上の企業

→米国に約8000社あり、潜在的な顧客数は6900万人

 「現在の会員数は280万人なので市場全体の4%にも満たない数字」

 2016年では顧客が2つの業界のみだったのが2021年では30もの業界で提供するほど拡大しており、今後の成長も期待できます。

事業リスク

・収益の多くをテクノロジー業界が占めており、最大顧客2社で収益の17%と15%合わせて32%を占めている

 最大顧客2社はおそらくグーグル、マイクロソフト辺りだと思います…

・新型コロナウイルスの再拡大

 パンデミック下では緊急でない医療行為の延期する大統領令や出産控えが発生し、収益に大きな影響を与える恐れがあります

決算まとめ

 それでは今回の決算を見ていきましょう。

●2021年第Q2

× 売上高 $128.7M(予想129.3M)前年同期比+99%

 EPS 0.19$(予想0.08$)

・顧客企業数 182社  前期比+3社

・顧客数   279.5万人 前期比+13.8万人

●2021年第Q3ガイダンス

× 売上高 $121~130M(予想$141.3M)

× EPS 0.03~0.07$(予想0.09$)

●2021年通期ガイダンス

× 売上高 $510~530M (予想$537.2M)

 EPS 0.43~0.50$(予想0.41$)

 売上高は予想$129.3Mに対し$128.7M(前年同期比+99%)と予想を下回ったものの、EPSは予想0.08$に対し0.19$とコンセンサス予想を上回りました。また、顧客企業数は182社と前期比+3社、顧客数は279.5万人と前期から13.8万人増加しました。

 2021年Q3の売上高ガイダンスは$121~130M、2021年通期の売上高ガイダンスは$510~530Mとなっており、コンセンサス予想を下回りました。EPSは2021年Q3で0.03~0.07$、通期で0.43~0.50$とQ3は予想を下回ったものの通期では上回ることができました。Q3での減速はデルタ株によるコロナ再拡大と娯楽のための外出が増えたことによるものだと考えられます。前者はコロナの第一波のときに見られた傾向で言うまでもありませんが、後者についてはコロナにより抑えられていた外出欲が爆発し、不妊治療を後回しにして娯楽を求めているのだと考えられます。決算資料にもこのような傾向は一時的なものであり、現在は正常化しつつあるとのことです。

 この結果を受け、プロジニーの株価はプレマーケットで10%近く下落しています。本当にダメな決算だったのか、内容を詳しく見ていきましょう。

業績

 それでは業績について詳しく見ていきましょう。

売上高

 上のグラフは「売上高、営業利益率の推移」になります。

 2021年Q2の売上高は$128.7M(前年同期比+99%)、営業利益率は9%となり、前年同期比で大きく上昇しました。前年同期である2020Q2はコロナの大流行により治療の一時的な停止などがあり収益が大きく落ち込んだため、前年同期比の成長率が大きくなっていることには留意したいところです。営業利益率が前年同期比で大きく上昇している要因として、薬剤プログラムパートナーとの契約条件が引き続き良好であったこと、ケアマネジメントサービスの継続的な効率化によるものが挙げられます(前年同期は治療が一時中断されていたにもかかわらず、すべてのケアマネジメントスタッフを継続して配置したことによるマイナスの影響もあります)。

 売上高は予想よりも低くはあったものの、順調に成長していることが分かります。また、営業利益率についても少しずつ改善していっていることが分かります。

粗利益率、営業コスト

 上のグラフは「粗利益率、営業コストの推移」になります。

 粗利益率の推移を見ると少しずつ上昇しており、今期は23%となっています。これは薬剤ソリューションの拡大と規模の拡大による効率化が主な要因となっています。

 S&M(マーケ費用)、G&A(一般販管費)について、各項目の金額自体は少しずつ上昇しているものの売上高に占める割合は年々減少しており、3%程度まで減少しています。おそらく今後もこれぐらいの水準を維持するのではないかと思います。

 ですので営業利益率はここ数年では10%前中盤を推移するだろうと思います。

顧客数

 上のグラフは「顧客企業数、顧客数の推移」になります。プロジニーにとって顧客数の推移は決算の中でも特に重要な指標になります。

 顧客企業数を見ると新年度になるQ1に大きく増加し、その他の四半期ではほとんど増加していません。これは事業内容が企業向けの福利厚生ソリューションであり、基本的に期中ではなく新年度から導入することに起因します。推移を大きな流れでを見ると順調に増加しており、増加数鈍化も見られません。

 今期2021年Q2では顧客企業数が182社と前期比+3社、顧客数が279.5万人と前期から13.8万人増加しました。正直Q2,Q3,Q4の顧客数はあまり重要ではありません。減ってなければOKぐらいのイメージだと思います。重要なのは年度始まりのQ1にどれだけ顧客数、顧客企業数が伸びるかです。来期2021年Q3の決算では2022年のガイダンスが発表され、その際に顧客企業数、顧客数について言及するので注目です。

ARTサイクル、利用者割合

 上のグラフは「ARTサイクル、利用者割合の推移」になります。 こちらの指標もプロジニーにとって重要な指標になります。

 ARTサイクルはめちゃくちゃざっくり言えば不妊治療の回数と言っていいと思います。回数が増えれば増えるほどプロジニーの収益が増加するので、毎期で増えていっているかを見る必要があります。2020年Q2のコロナによる治療の一時停止を除けばARTサイクルは増えていっていることが分かります。顧客数が増えているので当然のことではありますが、今期は7340回と素晴らしい成長を見せています。

 利用者割合については、2020年Q2を除けば女性が0.45~0.50%、全体では0.50~0.55%を推移していることが分かります。今期も女性が0.47%、全体が0.54%とこれまでと変わらない水準を見せています。決算発表では、Q3に入ってから治療予約スケジュールがこれまでにない異常なパターンを見せており、7,8月の利用率が低下する予想がされています。これにより、売上高が減少し、ガイダンスが引き下げられました。おそらく先述した通り、 デルタ株によるコロナ再拡大と娯楽のための外出が増えたこと(不妊治療を後回しにする)によるものが原因だと考えられます。

 個人的にはこれは大きな流れではなく短期的な動きであると考えており、短期的にはネガティブでも長期的に見ればノイズ程度なんじゃないかなぁと思っています。

株価

●2021/8/6現在 

 ・株価   55.36$ (プレマーケットで10% 下落中)

 ・時価総額  $4.9B

 ・PSR    9.4倍

 ・PER     118倍 ※2021年の通期ガイダンス売上高で計算

  (プレマーケットの下落を加味するとPER 106倍 )

 プロジニー(PGNY)はパンデミックにより売上高が減少したため2020年上期では株価も軟調でした。しかし、コロナの底を抜け強気の業績、業績予想などにより2020年下期からグングン上昇しています。株価のバリュエーションは2021年度のガイダンスで計算するとPSRが9.4倍、PERが118倍 (プレマーケットの下落を加味するとPER 106倍 ) となっています。前回決算から株価は少し下げたのでバリュエーションは下がったものの依然として高い水準であることには変わりはありません。

 今後の株価について、次の2021年Q3では2022年のガイダンスが発表されるため大きく株価が変動する可能性があります。ですので、長期的な視点でプロジニーの成長を信じるなら今回の暴落に乗じて拾っておくのもいいかもしれません。私はプロジニーを保有しており、長期的には成長する企業だと信じているので様子を見ながら買い増そうと考えています。

まとめ

・2021年Q2の決算は売上高×、EPS○、ガイダンス×

・決算ミスにより株価暴落-15%

・2021年Q3での2022年ガイダンスに注目

参考文献

Progyny, Inc. Announces Second Quarter 2021 Results | Progyny, Inc.
Reports Record Second Quarter Revenue of 8.7 Million, Reflecting 99% Growth Achieving Record Sales Momentum – Demand Among Prospective Accounts Returns to Pr...

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