【決算発表】センチネルワン(SentinelOne)FY22Q2(2021年9月) [S] 

決算まとめ

 センチネルワン(SentinelOne)は急成長しているサイバーセキュリティ企業で、2021年6月末にIPOしました。デジタル・セキュリティの変革、クラウドの導入、ランサムウェアの流入などによりセキュリティ需要が高まっており、どんどん成長している分野に属しています。この記事では、競合であるクラウドストライク(CrowdStrike)との業績を比較し、投資対象としてどうなのかについても言及していきます。

事業内容

 センチネルワンは2013年1月に設立されたセキュリティ企業で、2015年2月に最初のセキュリティソリューションをリリースました。サイバー攻撃(データ公開、改ざん、抜き取りなどの不正行為)に対し、AI(人口知能)を活用し防止・検出・対応を行います。

 コロナウイルスによりデジタルトランスフォーメーションが加速した中で、サーバー攻撃は日に日に多くなっています。医療や商業、インフラ、政府機関などデータが存在する全ての場所でテクノロジーへの依存が高まっている今、センチネルワンの様な企業が提供するサイバーセキュリティはデジタルライフサイクルを維持するために必要不可欠となっています。

 これまでのセキュリティ技術では対応が遅く現在のサイバー攻撃に対して適していないのに対し、センチネルワンではAIを活用することで現在のサイバー攻撃に対して有効な対処を行うことができるとのことです。

事業環境

・世界のクラウドサービスへの支出は2020年から2024年にかかて年率15.7%増加し1兆$を超える(IDC予想)

・2025年には414憶のIoTデバイスがオンラインになり、その多くはセキュリティ機能が組み込まれていない

・リモートワークの定着

 (CEOの82%がこれからも一部在宅勤務を許可し、47%が常時在宅勤務を許可する予定)

・サイバー攻撃が高度化しており従来のセキュリティでは防衛不可能

・サイバーセキュリティの人材が不足しておりテクノロジーを駆使したアプローチが必要とされている

市場規模

センチネルワン(SentinelOne)が対応している市場の規模は2024年に402億$に達し年平均成長率11.9%で成長すると予想されています

・エンドポイントセキュリティ

 2021年には97億$、2024年には120億$に成長

セキュリティ分析、応答、統合

 2021年には131億$、2024年には171億$に成長

IT運用管理

 2021年には59億$、2024年には111億$に成長

 市場規模として約12%成長していくため、このままのシェアを維持するだけで12%の成長が見込まれます。ですので、売上高がプラスで成長していくのはある意味当然のことです。そのため、企業売上高の成長率がこれを下回っていないか、どれだけ上回れるかが重要になってきます。

競合

クラウドストライク(CRWD)やVMware(VMW)などのエンドポイントセキュリティプロバイダー

・McAfee、Symantec(ブロードコムの子会社)、マイクロソフトなどのアンチウイルスプロバイダー

・Palo Alto Networksなどの一般的なネットワークセキュリティ製品・サービスのプロバイダー

 上記の企業が主な競合となりますが、特にクラウドストライク(CrowdStrike)がド競合となっておりライバル視しています。センチネルワン(SentinelOne)のHPでは如何にセンチネルワンがクラウドストライクより優れているかの比較を載せています(笑)

 ↓センチネルワンのHPにある比較ページです

SentinelOne vs. CrowdStrike | Cybersecurity Comparisons
It’s as simple as 1-2-3: Discover why customers choose SentinelOne over CrowdStrike for endpoint & cloud protection, detection, and response.

決算まとめ

 それでは今回の決算を見ていきましょう。

●FY22Q2

 売上高 $45.75M(予想$40.3M)前年同期比+121%

× EPS -0.38$(予想-0.20$)

・ARR $198M

・顧客数 5400+(前期比+700)

●FY22Q3ガイダンス

 売上高 $49~50M(予想$46M)

●FY22通期ガイダンス

 売上高 $188~190M(予想$176M)

 売上高は予想$40.3Mに対し$45.75M(前年同期比+121%)、EPSは予想-0.20$に対し-0.38$と売上高はコンセンサス予想を上回りましたが、EPSは予想を下回りました。また、ARR(年間経常収益)は$198M(前期比+23%)、顧客数は5400(前期比+700)と成長しました。

 FY22Q3、通期の売上高ガイダンスは上方修正し、いずれもコンセンサス予想を上回りました。

 この決算を受け、株価は少し下落しています。素晴らしい決算ですが株価がかなり高くなっているため、上昇はしませんでした。

業績

 それでは業績について詳しく見ていきましょう。

売上高

 上のグラフは「売上高、売上高成長率(前年同期比)、粗利益率の推移」になります。

 FY22Q2の売上高は$45.8M(前年同期比+121%)、利益率は59%となっています。売上高は順調に増加しており、売上高成長率を見ると加速していることが分かります。粗利率は将来的に80%を目標としていますが、現時点では60%近くを推移しています。

営業費用

 上のグラフは「営業費用の推移」になります。

 今期の営業費用の売上高に対する割合はS&Mが90%、R&Dが68%、G&Aが48%となっています。規模を急成長させている企業なのでかなりの金額をS&Mにかけていることが分かります。また、規模が大きくなってきたのでG&A(一般販管費)が少し上昇しています。営業損失は‐147%と現時点では大きな赤字となっています(グロース企業として赤字は普通)。

顧客数

 上のグラフは「サブスクリプション顧客数の推移」になります。

 FY22Q2時点の顧客数は5400(前年同期比+80%)となっており、ARR10万$以上の顧客は348となりました。前年のQ1からQ2の増加数が300なのに対し今年は700となっており、顧客数の伸びが加速していることが分かります。また、ARR10万$以上の顧客の割合は7%以下と少なく、今後のクロスセルなどにより顧客単価を高める余地があると考えられます。

ARR(年間経常収益)

 上のグラフは「ARR(年間経常収益)推移」になります。ARRはサブスクリプションモデルを使用している企業を見る際のKPI(重要指標)になります。FY22Q2のARRは$198Mで前年同期比+127%の成長となりました。成長率を見ると増加傾向にあり、成長が加速していることが分かります。

売上継続率(NRR)

 上のグラフは「売上継続率(NRR)の推移」になります。

 FY22Q2のNRRは129%と高い水準を記録しており、アップセルやクロスセルなどにより顧客単価が上昇していることを示します。

$S vs $CRWD

 センチネルワンと競合のクラウドストライクのデータを比較していきます。

CRWDS
四半期売上高$338M$46M
成長率70%121%
営業損失-14%-147%
ARR$1344M$198M
成長率70%127%
NRR120%+129%
顧客数130805400
成長率81%80%
時価総額$59.8B$16.9B
EV/S44倍92倍
※Sは今期売上高×4で計算

 グラフを比較すると、規模が小さいセンチネルワンの成長率はクラウドストライクより高くなっていることが分かります。また、センチネルワンの成長率自体加速しており、今後の伸びにも期待することができます。しかし、株価の水準はかなり高く、クラウドストライクですら時価総額が売上高の44倍というかなり高い数字であるのに対し、センチネルワンは92倍とあほほど高くなっています。

株価

●2021/9/10現在 

 ・株価   63.75$

 ・時価総額 $16.9B

 ・PSR     89倍

   ※FY22の通期ガイダンス売上高で計算

 センチネルワン($S)の株価はIPOした2021年6月末から大きく上昇しており、PSR(株価/売上高)は89倍とかなり高水準となっています。今回の決算は素晴らしい内容でしたが、株価のバリュエーションが高いためか決算発表翌日に下落しました。

 センチネルワンは2021年の12月27日にロックアップ解除を控えているのに加え、10月6日に従業員が保有株式の15%を売却することができるというイベントがあります。そのため、購入を検討している場合にはこの日程の前後で売り圧力が高まる可能性があることは頭に入れておいた方が賢明です。

まとめ

成長性◎ 売上高、ARR、顧客増加数が加速

・CRWDよりも成長率は高いが株価はかなり高い水準

・バリュエーションがかなり高いため投資する際は注意

参考文献

https://s28.q4cdn.com/399982429/files/doc_financials/2022/q2/SentinelOne-Q222-Exhibit-99.1-Final-9-8.pdf

https://s28.q4cdn.com/399982429/files/doc_financials/2022/q2/S-Q2-FY22-Shareholder-Letter_FINAL.pdf

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